- なるべく痛みを抑えた丁寧な麻酔とむし歯治療
- 削る量を最小限に抑えることができる拡大視野化の治療
- できる限り「神経」と「歯」を残すための正確な診断
- むし歯の進行と治療方法
- 歯の寿命を延ばしたい方へ「歯髄温存療法」
- むし歯を再発させないためには予防が重要
なるべく痛みを抑えた
丁寧な麻酔とむし歯治療
表面麻酔
電動麻酔器
痛みが苦手で歯科医院から足が遠のいてしまう方にも、安心して治療を受けていただけるように、当院では痛みの少ないむし歯治療を重視しています。
歯の痛みは、歯の内部を通る神経（歯髄）が刺激を受けることによって起こります。そのため、治療の際にはできる限り神経への刺激を抑え、やさしく丁寧に処置を行うことを心がけています。
神経に近い部位を治療する際は、麻酔を併用して痛みを軽減します。さらに、麻酔注射自体の痛みを感じにくくするため、まず歯ぐきの表面に塗るタイプの麻酔を使用し、感覚を鈍らせてから麻酔注入を行います。
注射には電動麻酔器を採用し、麻酔液の注入速度や圧力を電子制御で調整することで、刺激の少ない快適な麻酔を実現しています。
削る量を最小限に抑えることができる
拡大視野化の治療
むし歯の治療では、感染した部分をしっかり取り除くことが重要です。しかし、削りすぎてしまうと歯の寿命を縮めることにもつながります。
当院では、健康な歯をできるだけ残すために、削る範囲を最小限に抑える治療を行っています。治療では、肉眼よりも数倍大きく視野を拡大できる「マイクロスコープ」や「拡大鏡（ルーペ）」を使用し、むし歯部分と健康な歯質を正確に見分けながら処置を行います。 拡大視野による精密な治療によって、取り残しを防ぐとともに、必要最小限の切削でむし歯の再発リスクを抑えています。
できる限り「神経」と「歯」を
残すための正確な診断
当院では、深いむし歯であっても「できる限り神経を残す」ことを治療方針としています。
神経を取ってしまうと、歯は栄養の供給を失い、時間の経過とともにもろくなってしまいます。そのため、どんなに精密な被せ物を用いるよりも、自分自身の神経が残っている「生きた歯」を守ることが何より重要だと考えています。
正確な診断と、拡大視野を活かした精密治療によって、従来であれば神経除去が必要とされた症例でも、できる限り神経を温存する治療(歯髄温存療法)を目指します。
患者さんご自身の歯を長く健康に保つために、一本一本の歯の状態を丁寧に見極め、最適な方法をご提案いたします。
歯と神経の位置関係も把握できる「歯科用CT」
歯や顎の構造は本来立体的であるため、平面で撮影する従来のレントゲンだけでは、重なり合う影によって正確な位置関係を把握しにくい場合があります。
当院では、歯や顎の状態を3次元的に解析できる歯科用CTを導入しています。これにより、歯の根の形状や神経・血管の位置、顎骨の厚みなどを立体的に確認することが可能になりました。歯科用CTは、従来の2次元レントゲンでは難しかった解剖学的構造の奥行きや距離の把握を、精密な3D画像で再現します。
インプラント治療や根管治療、親知らずの抜歯など、正確な診断と安全な処置が求められる場面で特に効果を発揮します。
また、当院で採用している機器は医科用CTに比べて放射線被ばく量が少なく、短時間で撮影が完了します。被ばくリスクを最小限に抑えながら、より安全で精密な診断を実現しています。
細かい病変やひびなども確認できる「マイクロスコープ」
当院では、肉眼の4〜20倍まで拡大して観察できるマイクロスコープを使用し、より高精度な診断と治療を行っています。マイクロスコープの導入により、従来のように歯科医師の経験や勘に頼ることなく、目で確かめながら確実に処置を進めることができます。
特に、歯の内部にある複雑な根管や、肉眼では確認できないほど微細な亀裂・感染部分の特定に有効です。
暗く細い根管内を明るく拡大して観察できるため、汚染組織を取り残さずに除去でき、再発や再治療のリスクを大幅に軽減できます。
また、歯のひび割れ（破折線）や歯周ポケット内部の歯石、微細な病変なども正確に確認できるため、診断の精度が飛躍的に向上します。
マイクロスコープを活用した精密治療により、歯をできるだけ長く健康な状態で保つことが可能になります。
むし歯の進行と治療方法
初期むし歯（CO）
初期むし歯は、歯の表面を覆うエナメル質が酸によって溶け始め、白く濁った斑点が現れる段階です。
この時点では痛みやしみる感覚はほとんどなく、自覚症状もほとんどありませんが、放置すると進行しやすくなります。
歯を削らずにフッ素塗布や再石灰化を促すケアを行うことで、歯の修復をサポートします。 適切なブラッシングや定期的な健診を続けることで、自然に回復する場合もあります。
エナメル質のむし歯（C1）
むし歯が進行してエナメル質に穴が開くと、冷たいものや甘いものを口にしたときに歯がしみることがあります。
この段階では、感染した部分を丁寧に削り取り、レジン（歯科用樹脂）などの詰め物で修復する治療を行います。
早期に治療することで痛みを抑え、見た目も自然に仕上げることが可能です。
象牙質のむし歯（C2）
エナメル質の下にある象牙質までむし歯が進むと、痛みが強くなり、ズキズキとした自発的な痛みが出ることがあります。
象牙質は柔らかく、むし歯が急速に広がりやすい部分です。治療では、感染した部分を確実に取り除き、詰め物やクラウン（被せ物）を用いて歯の形を再現します。放置すると神経にまで感染が及ぶため、できるだけ早めの治療が大切です。
歯髄のむし歯（C3）
むし歯が歯の中心にある歯髄（神経や血管）にまで達すると、激しい痛みが生じます。炎症や膿が発生し、歯の内部が感染している可能性があります。
この段階では、根管治療と呼ばれる処置を行います。感染した神経を取り除き、根の中を洗浄・消毒して密封することで再感染を防ぎます。
根管治療を行わずに放置すると、炎症が骨にまで広がり、抜歯が必要になることもあります。
歯の寿命を延ばしたい方へ
「歯髄温存療法」
歯髄温存療法は、歯の内部にある神経や血管を抜かずに残すことを目的とした治療です。通常、むし歯が深くまで進行した場合は神経を取り除いて根管内を清潔に保つ処置（抜髄）を行いますが、当院ではできる限り神経を保存する治療を重視しています。
歯髄は、歯の内側から酸素や栄養を送り、免疫機能を支える重要な組織です。外部からの刺激に対しては修復象牙質を形成して歯を守り、痛みを通じて異常を知らせる働きもあります。
この歯髄を失うと、歯は時間の経過とともにもろくなり、歯根破折を起こすリスクが高くなります。また、神経を取り除いた歯は「失活歯」と呼ばれ、根の先に炎症が起きる根尖病巣や根尖性歯周炎が発生しやすくなります。
歯髄をできるだけ残すことは、こうしたトラブルの予防につながり、結果的に歯の寿命を延ばすことにもつながります。
当院では、精密な診断と慎重な処置によって、歯髄を保存できる可能性を高める治療を行っています。歯を長く健康に保ちたい方は、早めのご相談をおすすめします。
むし歯を再発させないためには
予防が重要
むし歯治療では、削った部分を詰め物や被せ物で修復します。治療が終わると痛みはなくなり、噛む機能も回復しますが、治療した歯は再びむし歯が発生しやすい状態になっています。
詰め物や被せ物が経年劣化すると、歯との間にわずかな隙間が生じます。この部分に細菌や汚れが溜まることで、治療済みの歯に再度むし歯ができることがあります。
これを「二次カリエス」と呼びます。二次カリエスは、被せ物の下で進行するため、見た目では気づきにくく、特に神経を取った歯では痛みが出ないことから、発見が遅れるケースが多く見られます。気づいたときにはむし歯が大きく広がっており、歯を残すことが難しくなる場合も少なくありません。
こうした再発を防ぐためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。定期健診ではお口の中を清潔に保つだけでなく、口腔内全体の歯の状態をチェックし、劣化や隙間を早期に発見することができます。
むし歯の再発を防ぐためには「治療後が本当のスタート」と考え、病気を発症させないための定期的な受診と予防ケアを続けることが大切です。むし歯を発症させないために、3カ月に1回は、歯医者を受診していただきたいと思います。